劇的に症状が良くなることもある催眠療法とは

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意識の力では改善できない症状を、催眠療法は改善する可能性を秘めています。

今回は催眠療法という心理療法を解説したいと思います。

天才セラピストが好んだ催眠療法

20世紀を代表する天才セラピスト、ミルトン・H・エリクソン医学博士は催眠療法という心理療法で数多くの患者を治療しました。

難病とされた患者があまりにも劇的に治るので、多くの医療関係者が世界各国から彼の催眠療法を学ぼうと訪れました。

どうして催眠で良くなるのか

心因性の症状で苦しんでいる患者さんの特徴として、頭ではこうしたいと思っていても、体が言うことをきいてくれないというものがあります。

例えば閉所恐怖症です。

頭では狭いところでも安全だと理解していても、体が過呼吸などの拒否反応を示してしまいます。

どんなに周りの家族や友人が大丈夫だと諭しても、効果はあまりありません。

それどころか本人も頭(表層意識)では大丈夫なはずと分かっているので、そんな常識的なアドバイスをもらったところで、余計ストレスになるだけです。

催眠は暗示を通して表層意識の下にある、潜在意識に働きかけることができます。

そのため、無意識に働いてしまう体の拒絶反応に、そういう風に反応しなくても大丈夫ですよと、催眠独自の方法で伝えることができます。

催眠療法の効果の現れ方

催眠療法で効果が比較的すぐに現れるのが、恐怖症状の除去です。

催眠により恐怖対象の認知の仕方や、脳の感覚処理の仕方が変化できた場合、顕著にその効果がわかります。

効果がすぐにでないものは、うつ病などの脳機能に支障がある場合です。

体の傷の回復と同じで、脳という部位の機能が回復するには時間がかかります。

催眠はその回復を早めると考えればいいでしょう。

ミルトン・エリクソンがおこなった閉所恐怖症の治療

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閉所恐怖症の治療でミルトン・エリクソン博士がおこなった催眠療法で、次のようなものがあります。

閉所恐怖症の男性が、エリクソン博士に治療を求めてやってきました。彼は部屋のドアを完全に閉じることができない状態で困っていました。

エリクソン博士は男性といろいろ話をした後、彼を催眠状態に誘導し、治療をはじめました。

まず部屋のドアを開けておき、催眠状態の男性に、壁に隙間が空いていますと伝えました。

男性はこの暗示に反応し、ドアが開いていると認識せずに壁に隙間が空いているという幻覚を見ました。

次にエリクソン博士は、その壁の隙間が埋まっていきますと暗示しながら、実際にドアを閉めていきました。

男性は壁の穴がふさがることには抵抗せず、完全に穴がふさがるのを見守りました。

催眠状態(トランス状態)でドアが完全に閉じても大丈夫という経験をした男性は、催眠が醒めた後でも、ドアが閉じても平気という状態になりました。

催眠は意識の抵抗をかいくぐる

催眠療法の特徴は、その曖昧さにあるのかもしれません。

催眠療法をするとき、「良くなりますよ」と直接的に暗示することもできますが、直接的な表現に拒否反応が出る場合は、別の何かに置き換えて伝えることができます。

さきほどの例では、ドアが閉まるのではなく、壁の隙間がふさがるという置き換えでした。

置き換えをさりげなくされると、人は抵抗なく相手の言葉を受け取ることができます。

催眠が上手なセラピストは、クライエントに押しつけがましさをあまり感じさせないものです。

催眠は潜在能力を引き出す

催眠療法は潜在意識がすでにもっている能力を引き出します。

言い換えるなら、本当はできることを適切な場所でできるようにする働きかけです。

例えばギターの練習をまったくしたことのない人に、どんなに催眠をかけてもいきなり上手く弾くことはできません。

これは潜在意識がその能力をまだ獲得していないためです。

(催眠を使って効率よく練習することはできます)

それとは違い、普段からたくさん練習していて、本番だけ上手くできないという場合なら、催眠療法で潜在意識がもっている能力(ギターを上手く弾く)を引き出し、本番で上手く弾けるようにすることは可能でしょう。

ミルトン・エリクソンがおこなった能力発揮のための催眠療法

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難しい試験を何度も受けては落ちている男性がいました。

その男性はもう十分勉強して実力はついているので、本来なら受かっても不思議ではないのですが、本番になると頭が真っ白になってしまうそうです。

そんな彼がエリクソン博士のもとへ催眠療法を受けに来ました。

エリクソン博士は男性を催眠状態に入れ、「あなたは白い紙にポタリとインクを垂らします。そしてインクが乾いたら、別の場所にまたインクを垂らすでしょう」と暗示しました。

それから何日かたったある日、男性のもとに試験の合格通知が届きました。

※症例は簡略化してお伝えしています。

エリクソン博士が何をしたのか?

今回の場合、男性はテストだと思うと頭が真っ白になってしまうので、エリクソン博士は「白い紙にインクを垂らす」という表現を用いて、「あなたの知識で紙を黒くしてきなさい」と暗示しました。

これにより、男性にとって白紙の答案はただの白い紙になり、潜在意識がすでにもっている知識を惜しみなく発揮することができました。

わたしたちは問題解決の能力はすでにもっている

催眠療法では、クライエントはすでに問題を解決する能力をもっているという見方をします。

このとき、クライエント自身は能力をもっていることに気づいていないことが多いです。

催眠家の仕事は、トランスワークなどを通して、クライエントのこうした能力を再び使えるようにお手伝いすることです。

時として、まるで魔法のように症状が良くなる催眠療法ですが、それは単にクライエントの能力が再び使えるようになっただけのことかもしれませんね。

まとめ

・ミルトン・エリクソン医学博士はやっぱり天才。

・天才がのこした催眠療法は、潜在意識にさりげなくコミュニケーションする心理療法。

・潜在意識は問題を解決する能力をすでにもっている。

・催眠家はクライエントの潜在能力を引き出すのが仕事。

管理人の独り言

私は催眠療法を専門に行っているセラピストなので、当然ミルトン・エリクソンを尊敬しています。

しかしながら、エリクソン博士の生きた時代と今の時代は若干違いますし、アメリカと日本で地理的、そして文化的違いがあります。

そのためエリクソン博士の教えを書籍などで読んでいると、ときどき疑問符がでることもあります。

このブログでもいくつかミルトン・エリクソン関連の書籍を紹介していますが、もしそれらを読まれるときは書いてあることを鵜呑みにせず、これは現実的に使える手法だろうかと冷静に検討してみてください。

エリクソン博士の症例は面白いものがいっぱいです。

しかしながら、面白いことをやるのが催眠療法家ではないので、エリクソン博士の症例の本質的な部分を吸収できるように、トレーニングを積んでいきたいものです。

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