理論にあわせる?それとも患者にあわせる?プロクルステスの寝床

シェアする

4efba706f8ae2451e395cb9ee94ba6d0_s

1950年代当時、エリクソン博士の治療方法は他の心理療法とは一線を画していました。

彼は伝統的な治療理論から距離を置き、患者の特性に合わせて治療方法を毎回変えていたのです。

私は、一人一人のために新しい理論と新しい治療法を開発します。 Milton H. Erickson
「ミルトン・エリクソン その生涯と治療技法より抜粋」

プロクルステスの寝床

エリクソン以前の心理療法では、患者を理論に当てはめ、いわばマニュアル的に治療が行われていました。

このような治療法に対してエリクソン博士は、「患者を理論に当てはめようとするのは。プロクルステスの寝床と同じようなものだ」と言いました。

ギリシャ神話に登場するプロクルステスという強盗は、捕らえた旅人をベッドに寝かせ、そのベッドより体が長ければ余った足を切断し、短ければベッドに合うように引き伸ばしたという。

エリクソンは患者一人一人を、違った個性をもつユニークな存在と見ていたようです。

治療の場でも、患者の世界観を大切にし、そのひとの世界観のなかで出会うようにしていました。

サラダ語

意味不明な言葉を発する患者がいました。その患者からエリクソン博士は病歴を聴取しようとしました。

このときエリクソン博士は通常の会話をするのではなく、彼自身も意味不明な言葉を使うことで、患者の世界観に入り込みました。

しばらく意味不明な会話をしていると、患者のほうから通常の会話をするようになりました。

エリクソニアンの取り組み方

分析脳の働きがあまりに強い治療者は、患者の症状を理論に当てはめ、自分がスッキリしようとします。これは問題に意識が向かっている、問題志向という状態です。

エリクソン派の治療者(エリクソニアン)は、患者が症状を克服するためにどんなリソースを持っているかに関心を持ちます。こちらは解決に意識が向いている、解決志向(患者志向)といいます。

利用法

エリクソニアンは、問題を解決する資源(リソース)を患者はすでにもっているので、治療者はそれを使えるようにしてあげればいいと考えます。

このとき、患者の症状すら利用して治療を行うことがあります。

(例)
数を数えなくては気がすまない強迫症の場合、一つ、二つ、三つという数え方から、ワン、ツー、スリーに変えてみる。

こうすることにより、まったくコントロール不能な状況から、自分で制御可能な部分もあるという感覚を養える。

問題をなくそうと頑張るより、問題を維持している力を、どのように問題を解決する力に変えるかを考えると有益です。

抵抗の利用

エリクソン博士の催眠デモンストレーションに懐疑的な男性がいました。

その人にエリクソンは次のように言いました。

「あなたのような怒りっぽい人は、じっと椅子に座っていることはできないでしょう」「静かに目を閉じていることもできないでしょう」「深く催眠に入れるはずもないでしょう」

抵抗の強い男性は、エリクソンに抵抗し続けるためには催眠に深く入るしかありませんでした。

エリクソンの治療観

エリクソン博士の治療は患者のニーズを大切にしていたので、短期間で治療が完結することが多かったです。

エリクソンは、患者の全ての問題を解決しようとはせず、いま困っている問題を患者がやり過ごせるように手伝いました。そうすることで、その人にあった発達をしてもらえればいいと考えていたようです。

アンチエリクソンは、いま困っている問題を解決するだけでは根本的な解決ではないと主張することがあります。

それに対してエリクソン博士は、問題にちょっとした良い変化を起こすと、それが雪だるま式にふくれあがると考えていました。

まとめ

  • エリクソン派は問題志向ではなく患者志向だ。
  • 患者の世界観を尊重しよう。
  • 患者が持ち込んできたものは、どんなものでも積極的に利用しよう。
  • 全てを解決する必要はない、問題をやり過ごせるようになれば患者は自ら発達する。

管理人の独り言

わたしはセラピーの現場でクライアントの問題症状の改善に取り組んでいます。

ですので症状の改善に多くの時間を使うのですけど、クライアントによってはどうして症状がでたのかを知りたがる人もいます。

もちろん原因探求が症状の改善につながるの場合は分析していくのですが、多くの場合、それはただの知的探求心の満足で終わってしまいます。

症状自体は原因分析をしなくても、意外と良くなるものです。

原因分析は時間が結構かかりますので、まず症状を改善して、それから余った時間で探求をしてみてもいいと思います。

でもほとんどの場合、家族関係が原因だとは思いますが。

ところで、私はテレビのリモコンの仕組みは知りませんが、ボタンを押すとチャンネルを変えることはできます。

技術者ではないので、日常を生きるにはこれで十分です。

スポンサーリンク
レクタングル大1

シェアする

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル大1

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です