驚愕法は、催眠状態へ瞬間的に誘導することができる技法です。
催眠療法ではあまり催眠誘導に使いませんが、ショー的な催眠では頻繁に使用されます。
ちなみに、相撲の技の「猫だまし」も一種の驚愕法かもしれませんね。
驚愕法のやり方
催眠術で一番よく使われる驚愕法は、指パッチンかもしれません。
「あなたは○○になります。パチンッ!もう○○になっています」
という古典的な催眠のあれです。
これは指を鳴らす代わりに、手を叩いたり、「1・2・3、はいっ!」というかけ声でもできます。
要するに、相手の注意を引くような合図ならいいです。
タイミングが大事
驚愕法は驚いてもらわないとダメなので、突然やらなくてはいけません。
例えば、違うものへ意識を向けさせ、突然手を叩くなどです。
どうして驚かすのか
ひとは大きな音や衝撃があると、一瞬思考がストップします。
その一瞬の隙をついて暗示を入れることができるからです。
合図としての驚愕法
隙を作る以外の驚愕法の使い道は、条件付けを利用した合図があります。
入眠暗示の「パチンッ!はい眠って」と、解眠暗示の「パチンッ!おはよう」を繰り返すことにより、「パチンッ!」と指を鳴らすだけで瞬間的に深い催眠に没入させることができます。
派手さの裏の危険
催眠術ショーでは驚愕法により瞬間的に催眠状態に入れられるため、その派手さが観客に喜ばれます。
その一方で、瞬間的に体の力が抜けることがあるので、床への転倒などの危険があります。
驚愕法を使う場合は安全の確保を最優先にしてください。
ミルトン・エリクソンの使用例
エリクソン博士が治療で驚愕法を使った例としては、自分の足のサイズが大きいと思い込んでいて、それが原因で学校へ行けなくなっている少女への治療があります。
まずエリクソン博士は、ベッドで寝ている彼女の母親を診療するフリをして、彼女を注意深く自分の後ろに立たせました。
そして突然、彼女の足をぎゅっと踏みました。
彼女が突然の衝撃で驚いているところに、エリクソン博士は「まったく、君の足が私が気づくくらい大きければ踏まずにすんだのに!」と怒って言いました。
この後、少女は自分の足の大きさを気にしなくなり、学校に再び通いだしました。
まとめ
- 驚愕法は催眠術ショーでよく使われる。
- タイミングを見計らって、音や刺激を突然与えればできる。
- 繰り返すことにより、刺激だけで催眠にいれられる。
- 安全には気をつける。
催眠療法では、退行催眠の場面転換で驚愕法を使用します。
リラクゼーション系の催眠では、それほど使う機会はありません。